2014年2月21日金曜日

焦り始める、カミーノ4日目

パラス・デ・レイでの出来事が尾を引いて、とうとう私たちは早起きをやめ、4日目は夜が明けてから出発することにした。

この日も神経質なおばさんがいて、夜中にトイレに行ったり早朝に準備をしている人にいちいち「しーっ」と注意していた。昨日とは違って怒られている人を見ている立場になったが、あれくらいの音は共同生活である以上仕方ないと思える自分がいてほっとした。

朝食を食べながらアンドレアと「今日はどこまで歩くつもり?」という定番の話をしていたら(今晩の宿が確保できるかどうかは死活問題なので、より多くの情報を持っているヨーロッパ人の動向は非常に気になるのだ)、私たちの今日の目的地であるラバコーデャにはアルベルゲがなさそうだということが分かり、慌ててホテルを検索して予約した。スマホとインターネット、本当に便利。

ホテルを探している間にみんなはどんどん出発して行き、私たちが出発したのは最後だった。

冬のガリシア地方は雨ばかりと聞いていたのに、青空が出ることもあるくらい天気に恵まれていたが、ここにきてとうとう本格的な雨が降り始めた。





明日にはもうサンティアゴ・デ・コンポステーラに着く。それなのにこの旅での気付きはジャガイモが好きということだけだった。今後何がしたいかとか、どう生きていきたいかとか、大切なことはまだ何も分かっていない。

やばい、明日までに何か掴まなければ、、と焦るものの、気がつけば考えていることは早く着かないかな、早く荷物降ろしたいなということばかりだった。

空回りしているのは足も同じくで、必死で動かしているつもりなのに、歩いても歩いても前に進まない。昨日まではほんのわずかな違いが楽しめていた道も同じような景色が繰り返されているだけに見えて、延々とルームランナーの上を歩き続けているような気分だった。

1日目以来、久々にもう一歩も歩くもんかという思いでホテルに到着したのはもう暗くなってからだった。

思い返すと、歩き始めてから初めてのプライベート空間だった。他の人たちと一部屋で寝るアルベルゲに不満があったわけではなかったけど、自分で思っていた以上にずっと気を張っていたのだ。他の人を気にして小声で話したり、荷物を広げる場所を譲り合わなくてもいい。私たちの常識は彼らにも常識なのかしら?とびくびくしなくていい。そして、早く到着してベッドを確保する必要もない。

足が進まなかったのはそのせいだったんだ。何時に着いても快適に寝る場所がある。なんだ、今日辛かったのは安心感だったんだ、と気付いた。すごく疲れて辛かったけど、悪くないやつだ!

ホテルの広い湯船にゆっくり浸かって、1階のレストランで一番安いワインを買ってきて、久々の開放感を楽しんだ。

念のため言っておくと、アルベルゲに泊まったからアンドレアの貴重なアドバイスがもらえたし、おじさんが荷物を整理するのを手伝ってくれたり、ワインをおごってくれたりした。たまにはホテルもいいね、という話で、アルベルゲはカミーノになくてはならないものだと思う。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...