あの日は（いつも？）私が乗るはずだった便だけでなく欠航が相次いでいて周辺のホテルが満室になり、ホテルバウチャーも用意されず空港で一夜を明かした人もたくさんいたようだったけど、不幸中の幸いで寝る場所は確保でき、さらにラッキーが続いて（初めは早くても二日後の便しかないと言われたのが）次の日には帰国便に乗ることができたから今となってはいいネタとなっているけど、帰って来た便も遅延に遅延を重ねて、飛び立つ瞬間まで本当に帰れるのか分からず気が休まるときはなかったし、あれがたった30時間程度の出来事だったということも信じられない。
去年まで欠航なんてあったかどうか覚えてないくらいだったのに、新年早々の欠航に始まり、今年は欠航だけでも3回、数時間単位で遅延したり空港まで辿り着くのに右往左往したりしたことなども含めると10回近く災難があったので、今年の穢れは今年のうちに、お祓いに行こう！ということになった。
お祓いのことなんて何も知らないのでインターネットで調べると寒川神社が出て来て、何かと便利な八方除けだと言うし、親近感もあったので寒川神社へ行くことにした。
学校が近かったから通りすがりにお参りしたことはあったけど、ここを目的に行くのは初めて。駐車場が整備されてきれいになっている（ような気がする）。そんなにメジャーな神社だったとは。
お祓いは朝一番のほうがいいとのことで早起きして8時を目指して行った。8時から受付開始かと思ったら、8時には最初のお祓いを始めるということみたいだった。
受付で名前や住所を記入した紙を提出して、なんのお祓いにするか相談する。
「なんのお祓いにしますか？」
「最近欠航が続くので…」
「け、欠航ですか？旅行の安全祈願ということですか？」
「いえ、旅行の安全というか、よく欠航するので…」
「どこか行かれるんですか？」
「いえ、どこか特定のところに行くからというわけでは…」
意外と細かく聞かれるので、ノープランでは行かないほうがいい。申し訳なくなって途中で「やっぱり旅行安全でいいです」と言ったが、今度は向こうの方のほうが納得せず、お任せして選んでもらった。
8時ちょうどくらいに行ったので、8時半の回まで待合室で待機。待ち時間に、榊をお供えする作法を覚える。やたら豪華な待合室で、神社のプロモーションビデオが流れていた。儲かっているなと感じた。
8時半までに続々と人が集まってきた。私自身はこれまでお祓いをしようなんていうことを考えたこともなかったので、お祓いする人がこんなにたくさんいることに驚いた。時節柄、七五三のお参りの人もいたが、聞くところによると、厄年に厄祓いをする人はけっこう多いらしい。つい支払った初穂料と原価のことを考えてしまう。
時間になると白い羽織を羽織って、水で清めて本殿へ入る。
私も七五三くらいはやったと思うのだが、物心ついてから本殿に入って何かするのは初めてで何もかもが新しくておもしろい。どこどこにお住まいの何々さんがこれこれを願ってます、という祝詞が次々とよみあげられていく。まるでラジオのDJみたいだなと思った。「東京都のラジオネーム『幸せになりたい』さんから、リクエストは『私の人生を守って』です」
これがかなり赤裸々で、他の人がどこに住んでてどんなことを願ってるのかが全員にお知らせされていく。これだけ細かく読み上げるのだから、根掘り葉掘り詳しく聞かれるはずである。
他の人の願いを聞いていると、引っ越すからとか家を建てたからとかライフイベントが起こるごとに来てるんだなーということを知り、知ってしまうと自分もそういったことがあったときお祓いに来ないと災いが降りかかるような心持ちになった。
私の祝詞はというと、何事もなく旅立ち、何事もなく帰って来られますように、みたいな感じにうまくまとめてもらっていた。
祝詞が終わると榊をお供えし、終了。帰り際に記名板剣神札や御神酒などをもらう。お土産付きだと満足度も高い。
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| 記名板剣神札は実家の神棚におまつりした |
帰りに早速おみくじを引いたら、大吉が出た！私はくじ運の悪い人生を歩んできたので、大吉はまだ2回目である。内容はと言うと「調子に乗らなければ何もかもがうまくいくでしょう」といったところ。いきなりのご利益に驚きを隠せない。お祓いとはこんなに即効性なのか。
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| ご利益を感じたので、正月飾りもいただいてきた |
この次の日も出張で飛行機に乗ることになっていた。先に行っていた社長から「今日はすごい風で飛行機揺れまくったよ〜」との電話があり、天気予報を見てみるとこれからますます天気が崩れるとの予報でどきどきしていたら、やはりANAから「天候調査中、飛ばすかどうかまだ決めてません」との連絡が来た。
みんなから私の前にはお祓いも無力だったかとか初穂料が足りなかったんじゃないのとか散々言われたが、予定より早く「飛ばすけど降りるかどうかはまだ決めてません」になり、結局10分ほど遅延したものの無事到着した。
それ以来、7回飛行機に乗ったけど、これまでが嘘のように何の問題もなく飛び続けている。ご利益ありすぎワロタ。
