もちろんできるかぎり音を立てないようにし、光もなるべく出さないようにしていたけど、寝袋のしゃらしゃらする音とか、ジップロックがパリパリする音とか、どうしても出てしまうものがある。
その点私たちが完全に悪いのだが、おばさんはヒステリックに怒るばかりで、謝ってもダメ、準備をやめて音を出さないようにじっとしててもダメ、おばさんは大声で怒鳴る、という状態で、手が付けられなくなってしまった。
おばさんは前日の夕方に部屋に到着した時からすでに何か(もしかしたら何もかも)に対して怒っていて、もはや私たちにどうにかできる問題ではなかった気がするので、おばさんに対しては「変な人と同じ部屋になっちゃって運が悪かったな」と思うだけだったが、同室で我々のやり取りを聞いているだけの人たちに対しては、彼らもうるさかっただろうな、巻き込んでしまって本当に申し訳なかったな、という気持ちでいっぱいだった。
それでもなんとか準備を済ませ、もやもやとした気持ちで歩き出したが、真っ暗で寒くて足が痛いのは昨日までと何にも変わらなくて、ちょっとだけ落ち着いた。
サンティアゴ・デ・コンポステーラのあるア・コルーニャ県に入った |
メリデの町 久々にたくさんの人を見た |
この日はサクサク足が動いた。今思うと、早く目的地のアルスーアに着いて、できればあのおばさんとは違うアルベルゲに泊まりたいという強いモチベーションがあって、後ろから迫るおばさんに追いつかれたくないという気持ちが疲れや痛みに勝っていたのだ。この日の私は本当に元気だった。おばさん、ありがとう。
余談だけど、アルスーアに着いたら、おばさんもう着いてたんだよね。後ろから迫るおばさんに追い立てられるような気持ちで歩いていたけど、おばさんはとっくに私たちのことを追い抜かしてた。私は一体何から逃げてたのか。